BIGJOHN(ビッグジョン) NEW RERA R008 藍聖(らんせい) DENIM 糸開発編

BIGJOHN創業70th、RERAデニム誕生30周年のメモリ アルアイテム。日本のクラフトマンの技術を集結し、世界に誇る現代最高峰のジーンズ。紡績、染色、織布、縫製、付属、シルエット、パッケージ。すべての工程において妥協のない究極のモノづくりの結晶が詰まっている。それは、国宝級の染め職人"坂本藍聖"の天然100%の 藍染経糸、しかしそれはしっかりと中白糸で縦落ちの経年変化を狙い、また昭和30年代のシャトル織機で織られる15.5oz生地、縫製にいたってはありえない4度縫いもとり入れる… などなど、その拘りは尽きることがない。その拘りをひとつずつ掘り下げていこうと思う。今日は糸開発編。
STYLE: RARE
STYLE DENIM: BJ ORIGINAL 15.5oz RARE DENM
SEWING: JAPAN (HIRAO FACTORY) FINISH: RIGID
FRONT: Plastron Button
SIDE: SELVEDGE
生地縮率:縦-9.0% 横-6.6%
FABLICK: AMERICAN COTTON 100% DENIM



新レアのデニム生地をつくるにあたってまずスタートしたのが糸の開発。どこの産地のどの綿をどの割合でブレンドするのか、糸の番手や撚系数など様々な要素によって、その糸の性質、およびデニム生地の性質に直接関係してくる。それは着用した時のハリ感であったり、穿きやすさであったりと、着用感の善し悪しを左右することを意味する。開発チームは新レアデニムにふさわしい糸の開発をするべく、大阪府にある「旭紡績株式会社」を訪れた。旭紡績は明治16年に紋羽紡織業から発足した歴史ある紡績会社であり、そこに最高峰のデニム生地の原糸を求めた。

倉庫内に積まれた原綿。世界の様々な産地から送られてくる。

工場内では多くの機械が常時活動している。

機械の調節をする藪内社長。



そこでまずは今後の行方を大きく左右する綿の選定である。世界の様々な綿を目の前にし、触ったり伸ばしたり、色を比較したりと、産地によって全く異なる綿の性質をまず知ることからスタートした。目指すひとつの生地として、60年代初期のCANTONの生地を参考にした。ビッグジョンの前身であるマルオ被服では、CANTONの製造販売を行なっていたが、その頃製造していた当時のCANTONジーンズが、今でもビッグジョン社内資料として大事に保管されている。そのデッドストックの1本を分解し、糸の分析を進めた。ただし、この頃の生地のハリ感、肉厚感を目指すことに加え、現代の要素を付加することが必要不可欠だということにすぐに気付いた。それは開発チームが求めていた糸の理想が、「足を通すと柔らかく穿きやすいけれども、スルメのように穿けば穿くほどハリ・コシが戻るような肉厚感のある生地」であったからである。当時のCANTONの生地は肉厚でハリ・コシがあり、非常にジーンズらしい生地だけれども、着用感という面では乏しい。このハリ・コシを残しながらも、穿き心地の良いデニム生地がやはり理想である。

分解した60年代初期のCANTON(ビッグジョン所有)。

世界各国のコットン。この中からブレンドする綿を選ぶことから始まった。



一見矛盾したようにも思える開発チームの要望であったが、これを実現できるにふさわしい綿とは何か?ということを何度も打ち合わせを重ね、最終的に数ある綿の中で選んだのが米綿であった。しかしただの米綿ではない。繊度が通常のものよりも太い、ある二種類のアメリカ綿をブレンドしたもので、繊維長も超長綿よりやや短い長綿と呼ばれるものを選んだ。このグレードがジーンズらしい顔と、着用感に影響するしなやかさのバランスが一番良く、開発チームが求める糸に限りなく近いものが出来ると確信したからだ。そして表情は、ヴィンテージデニムの雰囲気は持ちつつも、ムラ・ネップ・ケバを抑えた現代の生地を探求し、糸の撚系数やムラ形状、経糸緯糸の番手など、黄金比率のバランスを求め、1950年代の紡機を使用し、2009年某日、ついに糸が完成した。米綿100%を使用した、経糸 6.5番手・緯糸 6.1番手の極上の糸である。

米綿100%を使用した、経糸 6.5番手・緯糸 6.1番手の極上の糸。

上段がCANTONの経糸緯糸で、下段が今回完成した経糸緯糸。オリジナルを参考にしながらも現代風にモディファイしている。
(以上 BIGJOHN WEB SITE より)


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