エンダースキーマの衝撃の元を考えた

 エンダースキーマに出会ったときの衝撃を忘れられない。それはAIR FORCE1という普遍性を持ったカタチからすっと入り込んだことは間違えない。でもそれはどうやら上澄みの部分であって深層にある本当の衝撃の理由を考えてみた。
 僕は彼らのアトリエに2度ほどお邪魔したことがある。そこには靴を造る為に必要な多種のミシンたちが並んでいた。アトリエから感じ取れるのは、しっかりと地に足の着いた靴造りの原点。彼らの仕事場には情熱を含んだ静かなる「まじめ」がどっしりと存在している。衝撃のひとつの元はこのアトリエから醸されている静かなる「まじめ」に起因している。そのような「まじめ」さを持ったブランドは、恐らく分業化の波の中で比較的少なくなった。しかしそれでも残念ながら今の世の中はそのようなまじめさだけで受け入れてくれるほど甘くはない。そしてこの問いの答えを見つけられる人はさらに少ない。
 さて、エンダースキーマのひとつの答えがこのKICKSにあった。言葉は悪いがAIR FORCE1(若しくはSUPERSTAR)という普遍性のあるカタチを利用して表現するというしたたかな手法。しかしその手法は下手するとザレモノ(パクリ)になる危険性が高い。また、デザイナーとしてのクリエーションと言う問いに対しての大いなる葛藤もあったはずだ。何はともあれこの手法には所謂、高いミクスチャーセンスが試されるのだ。そこに彼らはチャレンジをし、こんなにも惹きつけられるアイテムを創った。そんな彼らに、勝手ながらボクは、世の中を突き抜けようとする葛藤と勇気を感じてしまう…。そんなHIPHOP的手法、嫌いじゃないです。何よりもこのまじめさが日本で生き残ってゆきますように。

ここ10年来商業主義によるザレモノ蔓延状況に辟易しつつ、自分の飽きっぽさが最大の根源である事を棚に上げつつ、心踊る事が少なかったけど、久しぶりにワクワクする。



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